2018年のベトナムの雇用見通し

人材派遣会社各社は、2018年のベトナムの雇用市場はおおむね良好との見通しを示しています。ベトナムでは、製造基盤の開発が続いていることが一つの要因として挙げられます。

人材紹介会社キャリアリンクのベトナム求職者担当マネージャー アン氏は、「ベトナムの製造・産業部門の成長が2018年も続くことを期待する」と述べています。

ベトナムに進出・拡大する多国籍企業は増えており、新工場の建設が予想されることから、エンジニアや製造業専門家の需要は今後高まるとタム氏は見ています。

ショッピングモールや不動産計画の増加に伴い、国内小売部門の成長も見込まれます。

タム氏は、「2018年は事業提携のスキルに熟達した専門家の需要も高まる」と予想しています。

キャリアリンクの報告書によると、一般消費財(FMCG)産業、テクノロジー産業、医薬品産業では、社内法律顧問の募集が引き続きおこなわれると見られますが、金融サービス産業では、ますます複雑になる規制要件に対応して、内部統制・監査機能を担う新たな役職がすでに設けられたようです。

ベトナムの主要部門で着実に広がっているビッグデータの使用に伴って、ソフトウェアの高度熟練開発者が2018年も引き続き求められるでしょう。

しかしながら、マネジメントスキルに熟達したIT専門家やフルスタック・ディヴェロッパー(複数の技術分野についての知識や技能に精通し、一人でシステムの開発や運用がこなせる技術者)、フロントエンドのUI/UX専門家を見つけることは企業の人事責任者にとって至難の業でしょう。国内の労働市場には、それらに適した人材がいないからです。

企業はこの人材不足を克服するため、海外で活躍するベトナム人に期待する可能性が高いと見られています。

キャリアリンクアジアのヒエン氏は、デジタル経済の地域的拡大が続くなか、企業各社が競争力と市場シェアの強化をめざしていることから、多くの企業がオンライン/モバイル・プラットフォームの創設に動いていると述べています。

こうした大きな動きを受けて、多くの企業は、マーケティングと情報技術の分野で、デジタル技術に通じた専門家(特に非営業部門のデジタルインフラの運営に熟達した人材やニッチのテクノロジースキルを備えた人材)を必要としています。

ヒエン氏は、「営利的思考を発揮しつつ、複雑な人事管理に長けた人材の需要が高まる」との見通しを示しています。

2017年にふるい落とされた人材が労働市場に残ってはいますが、企業の人事責任者はほとんどの部門で人材不足への対応に苦しんでいます。

これは、海外経験があり国内の知識に通暁した高い潜在能力を持つ専門職の雇用に特別な影響を与えました。

ベトナム市場で事業拡大を計画する大手小売企業が増加するのに伴い、小売産業で働いた経験のある人事専門職が求められる可能性は高い。

技術的・専門的スキルの需要が生じていることから、長期的に文化適合的な人材の雇用をめざす組織が増えるなかで、人材採用プロセスはどの産業も一層厳しくなるでしょう。

専門職が転職する場合、年収は2017年よりもやや低い20%アップとなるでしょう。

同じ組織に居続ける場合、年収は前年度比で約10%アップが期待できます。

2018年(特に前期)のベトナムの雇用市場は成長すると予想しています。

卸売り、製造・生産、建設、工学は、どれも人材を最も必要としているセクターです。

ベトナムの多くの企業は、マネージャーとディレクターの需要が高まるとしながらも、それぞれの基準を満たす人材を採用するのは難しいと見ています。