外国で仕事を見つける秘訣

外国で仕事を見つける方法
外国で仕事を見つけるには注意が必要です。外国で夢の仕事を見つけるのに役立つ秘訣を以下にお教えしましょう。

ユニークな経験をしたい新卒者であれ、現状を変えたい経験労働者であれ、国境を跳び越えていくことは、刺激的な選択肢となります。ただ残念ながら、外国暮らしを夢見る多くの労働者が、その夢を果たせないでいます。多くの場合、外国で新しい仕事を見つけるには、とりわけ準備不足の人の場合、ある程度の要領が必要です。

私たちは、外国で夢の仕事を見つける秘訣を知る業界の専門家に取材しました。

オンライン・ネットワーキング
インターネットのおかげで、求職者は外国の求人情報を見つけやすくなりました。しかしその効用はそれにとどまりません。今やソーシャル・メディアの普及で、国際的な専門職のネットワークを築くことができます。ハロゲン・ソフトウェアの企業人材担当マネージャーであるリサ・マレン氏は、「オンライン・ネットワーキングは、対面ネットワーキングのお膳立てをします。うまくいけば、直接対面する前に打ち解けることができます」と述べています。「オンライン・コミュニティやユーザー・グループを利用すれば、求職者はネットワークを築く機会を得られ、必ずしも自分が仕事を探している業界に向けて積極的に働きかけることがなくても、スキルや考え抜かれたリーダーシップを示すことができます」とマレン氏。

直接の経験
おそらく(望むらくは)お気づきのように、初めての国に行けば、かなり大きな変化を被ることになるでしょう。それを真剣に考えているならば、自分が働きたい国をすでに訪れたも同然です。そうでないならば、旅行の計画を立てるのがよいでしょう。これから心奪われることになるであろう文化の薫りを嗅げるだけでなく、就きたい仕事が見つかる可能性も高まるかもしれません。

中国中央テレビ(CCTV)の人事マネージャーであるグレン・ラブランド氏は、「あなたがめざす国を訪れ、何か情報が得るために前もって取材しておくことは賢明です」、「国際感覚に富む雇用主は、仕事を見つけようとする国を一度も訪れたことのない人材を雇おうとはしないものです。あなたは自分が行きたい場所に親しむべきです。期待と現実が食い違うことはよくあるからです」と述べています。

求人応募の手続きに関するその国の慣行を調べる
国境を跨いで職探しをする多くの人たちは、カルチャーショックは覚悟していますが、求人応募の手続きが国によって異なる点を見落としがちです。オンライン卸売業者SaleHooの共同設立者でCEOのサイモン・スレイド氏は、「米国外で仕事を見つけるときは、求人応募の手続きに関するその国の慣行を理解し、その国の言語で履歴書(CV)を書くようにしましょう。たとえば、ニュージーランドでは、アメリカン・イングリッシュでなく、クイーンズ・イングリッシュで書きましょう」と助言しています。

国によっては、言語の違いだけではありません。「中国では、履歴書に自分の写真を貼るのがふつうです」、「提出する履歴書がその国の形式に従っていれば、あなたの本気度が雇用主に伝わるかもしれません」とラブランド氏。

インターナル、でもインターナショナル
遠い国で仕事を見つけたいかもしれませんが、実際のサーチは自分の国の近くから始めるほうがよいでしょう。「あなたが現在働いている会社が世界各地にある他のオフィスで働く社員のために全社的な求人情報を提供しているかどうかを確認してみてください。たとえあなたの会社に正式な社内転勤制度がなくても、あなたが行きたいと考えている国のオフィスの人事部に連絡を取ることができまるでしょう」とラブランド氏は説明します。

またラブランド氏は、「専門機関の一員であれば、海外に拠点があるかどうかを確認しましょう。現地の求人活動に役立つ情報を提供してくれるかもしれません」と示唆しています。

自分について説明する
面接時の質問は雇用主によって異なるでしょうが、国外に仕事を求めている人は、まずその理由を訊ねられると考えてよいでしょう。ラブランド氏は言います。「あなたが海外に移りたい理由を詳しく聞かせてください。それはあなたのキャリアに役立ちますか? あなたの配偶者も一緒に移住する予定ですか? あなたも仕事をする必要がありますか? あなたはいつも海外で暮らしたいと思っていましたか? 今がそのときだとお考えですか?」といった質問です。ラブランド氏はまた、「採用担当者は、あなたが契約を履行するために実際どのように取り組んでいるのかをよく知りたいと思うでしょう。外国人移住者の雇用は、書類作成や規制上の問題があるため、常に複雑です。雇用主からすると、被雇用者の移動が予想外に遅れるおそれもあります」と説明しています。

行動は美徳だが……
いよいよ、あなたは海外に仕事を求めて、世界を見るために国を出る準備ができましたね? でも、焦ってはいけません。実のところ、外国で仕事を見つけることは、自分の国でそれを見つけるよりもずっと時間がかかるものです。「仕事探しには最低でも4カ月から6カ月はかかると見ておきましょう。ビザ手続きも意外に時間がかかります。たとえばCCTVでは、あなたが仕事を受諾してから約4カ月後までビザ申請書類を受け取らないでしょう。バックアップ計画を立て、海外行きにすべてを当てにしないようにすることが肝要です」とラブランド氏は注意を促しています。

女性創業者たちがベトナムでリーダーシップを発揮する日

Huong Tran氏が2014年に新規のビューティーリテール企業Epomiをベトナム人投資家たちに初めて売り込んだとき、彼女は彼らの反応に衝撃を受けました。

「女は感情的な生き物だから、会社の経営なんてできっこない。だから女の会社に投資したくないと言うのです。そう言ったのは、ベトナム有数の大手国際ベンチャーキャピタル企業の人でした。私はその企業に期待しませんでした」とTran氏は述べています。

そのときまで、Tran氏は自分の申し出を受け入れてほしいと真剣に投資家を説得するのに苦労したことはめったにありませんでした。Tran氏はデューク大学でMBAを取得し、サムスンやGSKなどの大手多国籍企業で10年間指導者の立場にあったベトナム人として、ビジネス界で長く活躍してきました。彼女が投資家たちを説得したとき、Epomiはすでに急速に売り上げを伸ばしており、熱心な顧客基盤を持ち、大手サプライヤーと優良な契約を結び、ベトナムにおいて急成長するビューティーリテール市場をリードする明確な計画を持ち合わせていました。

Tran氏は最終的に起業資金を調達できましたが、当初彼女が味わった経験は特段珍しいものではありません。先進国か新興国かにかかわらず、女性差別は世界共通の課題です。いわゆるセクハラも同様です。テクノロジー業界で(も)生じている永遠になくなりそうにない一連の性的ハラスメント行為は、社会的にますます白日の下に晒されつつあります。

しかしながら、男女平等の一定の基準については、ベトナムは他のアジア諸国よりも優秀な国と言えます。たとえばデロイトの最近の調査によると、オーストラリアを除くアジア・太平洋諸国のうち、ベトナムは女性取締役の割合が最も高い17.6%でした。世界64カ国を対象としたこの調査からは、ベトナムがシンガポール(9.4%)や中国(9.2%)などの近隣先進諸国はもとより、世界平均(15%)をも上回っていることが分かります。

女性が中小企業経営者に占める割合でも、ベトナムはかなり高いものがあります。アジア開発銀行とオーストラリア政府が共同で指導するメコン・ビジネス・イニシアティヴ(MBI)の2016年報告書によると、中小企業のオーナー全体に占める女性の割合は、ベトナムが約25%なのに対し、南アジアは8%にとどまっています。

ベトナム最大級の有名企業の一部も女性が経営者です。最も著名なのがNguyen Thi Phuong Thao氏です。Thao氏は、2017年前半にベトナム証券取引所に上場した人気の格安航空会社Vietjetの創業者兼CEOです。彼女が東南アジア唯一の女性億万長者になった一つの要因として、同社の成功が挙げられるでしょう。

著名な女性CEOは、スタートアップ企業のみならず、小売りから農業にいたる幅広い業界でも見られます。

一部の業界では、上級管理職のかなりの割合を女性が占めています。2014年から2016年にかけて、私はシンガポールに拠点を置く医療データ会社と協力しながら、ベトナムで新たなサービスラインを立ち上げました。この間、私はベトナムのほとんどすべての多国籍医薬品会社に売り込みをかけました。その多くは未だに外国人の男性が経営者ですが、私の商取引相手の大半は女性でした。また裏で女性が仕切っていることもしばしばありました。

ただし、すべての業界が同じ感覚なわけではありません。2015年まで遡ってみると、ベトナムで急成長するIT部門を扱ったテコノミー(Techonomy)の一連の物語において、国内ITサービス企業へのインタビューやサイト訪問を幾度も重ねましたが、その間、女性に出くわすことはほとんどありませんでした。他の諸国と同様、ベトナムのテクノロジー業界も女性は少数派です。とはいえ、一部の教育機関は、自国の科学・技術・工学・数学(STEM)分野における人材の構築に取り組みながら、常にそのことを気にかけています。

「ベトナムには優秀な女性ビジネスリーダーたちがいます。だからといって、この国の経済界で男女平等が実現しているわけではありません。」そう話すのは、サンフランシスコやアジア各地に事務所を置くインパクト投資ファンドのPatamar Capital(旧Unitus Impact)ベトナム事務所の社長Shuyin Tang氏。男女間格差を埋めるべく、最近Patamar Capitalは東南アジアにおいて女性オーナー企業向け投資ファンドを立ち上げました。

その他の組織も、ベトナムの女性実業家の支援に取り組んでいます。たとえばMBIは最近ベトナムの女性オーナー企業を支援するためのプログラミング・サービスを提供するマルチ・ステークホルダープログラムWomen’s Initiative for Startups and Entrepreneurshipの立ち上げを手助けしました。そのヴィジョンはメコン地域にまで拡大しています。もうひとつがWomen of Vietnamです。これは、ベトナム系オーストラリア人起業家が2015年に立ち上げたプライベート・コミュニティです。

こうした組織は、時に騒がれ論争となるトピックと格闘しています。ベストセラー『LEAN IN(リーン・イン)女性、仕事、リーダーへの意欲』の著者シェリル・サンドバーグ氏は、「職場で男女平等を持ち出す人は、深海や泥水の中を進んでいるようなものです」と書いています。「このテーマ自体は、性差の存在を認めるよう私たちに迫りながら、同一待遇という目標の達成を試みるというパラドックスを孕んでいます。」

しかし、男女平等を奨励し、仕事における女性差別を防止する運動が世界中で高揚しています。この運動がベトナムでもヒートアップしていることから、この急速に成長するダイナミックな国において、より多くの女性起業家がリーダーシップを発揮する日の来ることが期待されます。

ホーチミン市、今後数カ月で7万人の労働者が必要

ホーチミン市人材需要予測・労働市場情報(FALMI)センターによると、残る数カ月間(本記事は2017年10月16日付け)に、ホーチミン市では、衣料・繊維、販売、サービス、物流、ITなどの分野で約7万人の労働者が必要だとしています。

しかし多くの労働者は転職に後ろ向きです。年末にボーナスの支給が待っているからです。

人材サービス会社Navigos Group(オンライン人材募集ポータルVietnamWorkや幹部向けのNavigos Searchを傘下に持つ)の報告書によると、新たに採用する従業員に対して(損失分を補うために)ボーナスを支給してもよいとする企業も出てきているようです。

電力部門の労働市場は、ベトナムの電力需要を満たすために火力発電が引き続き拡大すると見込まれることから、長い沈黙状態から抜け出て、力強さを取り戻すでしょう。

外国投資家による多くの太陽エネルギープロジェクトが全国各地で提案されています。

ソーラーパネルの購入・設置費用が大幅に下落するなか、ベトナム政府はソーラーエネルギーへの投資奨励策を用意しています。

マネージャー職の高い需要
Navigos Searchによると、2017年最終四半期における企業のクライアントによる中堅・上級ポストの需要は前年同期比で19%も高まりました。

管理職の需要が最も高い産業としては、銀行・金融業、消費財、小売り、情報通信技術(ICT)、製造業、サービス業などがあります。

銀行・金融業では、銀行、保険会社、消費者金融会社からの需要が最も高く、サービス業では、採用需要の多くが広告・マーケティング会社からのものでした。

ICT産業における需要は第3位で、ITサービスやシステム統合の仕事が大半を占めています。これらのポストは、主に各種プログラミング言語の経験があるマネージャーやエンジニア向けです。

Navigos Searchによると、消費財産業のいくつかの多国籍企業は2017年最終四半期に、ベトナム北部山岳地域の地域セールス・マネージャーの採用に取り組んでいました。

経験のある人材は、この地域で仕事に就こうとは考えませんし、経験の乏しい人材は雇用側の要求を満たしていません。

加えて、北部地域の中堅セールス・マネージャーの弱点は、英語力です。

ベトナムにおける国際的ファッションブランドの誕生は、あらゆるレベルのベトナム人労働者により多くの雇用機会をもたらしています。

小売業においては、合併・買収(M&A)が今も続いています。いくつかの有名なベトナムブランドが、日本とタイの企業によって買収されています。M&A取引は、ベトナム人スタッフが国際的勤務スタイルと専門的チェーン・マネジメントについて直接知る機会をもたらしています。

給与に関していうと、最高支給額は消費財産業の上級マネージャー職で、月額約3億VND(1万3,157米ドル)です。

不動産、銀行業、ICT、製造業などの中堅・上級マネージャーの給与は、月額1億〜2億2,000万VND(4,385〜9,649米ドル)です。

FALMIセンターの報告によると、2017年最終四半期における労働者の採用需要は前年同期比で約24%上昇しました。

来たるべき時代のFDI政策

1987年に外国直接投資法が制定されてから30年が経ちます。この法律は、当時の東南アジアにおいて外国直接投資(FDI)について定めて最も優れた法的枠組みの一つでした。たとえば、外資100%出資に関するインドネシアとインドの同様の法律に先んずるものでした。投資協力委員会は、非常に簡単な行政手続きでもって免許を発行しました。これは、外国投資家にとって魅力的でした。

1988年から1990年にかけて、政策立案者はベトナム経済の現実に合致した法律と政策について研究しました。そして、この3年間の投資はきわめてわずかでした。小型プロジェクトを集めて、FDI登録資本は総額約10億ドルで、うち資本支出は3億ドルでした。

1991年から1998年にかけて、ベトナムは経済危機から脱出し始めました。民間部門と同様、経済一般と国内市場が特に発展し始めました。その結果FDIは急速に増加し始め、この間の投資総額の30%を占めるほどでした。年間のGDP成長率は平均で約8.5%でした。うち約3%ポイントがFDIによるものです。ベトナムはこのときの経験から、市場経済と国際慣行に基づく法的枠組みを構築し完成させる方法、既存の規制の欠陥をすぐに見つけ、経済活動に関わる問題を適正に規制するために適時に調整する方法について学びました。

アジア経済危機後の1999年から2004年にかけて、海外からベトナムへのFDIは激減しました。登録資本は6年連続約30億ドルで、うち資本支出は約20億ドルでした。

2005年から2007年までの間にFDIは回復し、2007年の登録資本は720億ドル、うち資本支出は80億ドルでした。中央政府の管理分散化措置によって、登録資本は急増しましたが、多くの大型プロジェクトは実施されませんでした。中央政府が評価・許認可権を地方当局に委譲したとき、いくぶん不健全な競争が生じました。財務能力がない一部の投資家に免許が交付されたのです。そうしたプロジェクトは一向に前進しませんでした。

2008年から2011年にかけて、ベトナム経済は世界経済危機のあおりを受け、ベトナムにおいて支出されたFDI総額は80〜90億ドルでした。2012年から2017年にかけては、海外からベトナムへのFDIは急増し始めました。2017年の資本支出は過去最高水準の約170億ドルに達し、登録資本は358億8,000万ドルとなりました。

登録資本と支出総額との大きな開き
総じて、ベトナム政府はFDIを誘致する投資環境の構築に真剣に取り組んできました。過去30年間のベトナムのFDI登録資本は総額3,187億2,000万ドルで、うち1,750億ドルが支出されました。

ただし、登録資本と支出総額との間には約1,900億ドルもの大きな開きがあります。この差額について考えるため、具体的に2つの不動産プロジェクト(ハノイのCiputraとホーチミン市のPhu My Hung)を見てみましょう。このケースでは、登録資本が30〜40億ドルなのにたいし、実際に支出されたのはわずか2〜3億ドルでした。概して、投資家はFDI登録資本の15%ほどしか支出せず、残りは「登録された」だけだと考えられます。登録投資30〜40億ドルの類似のプロジェクトについても、実際に支出された額はごく一部です。

1,900億ドルの差額のうち約500億ドルを完全に支出するのに3年はかかります。これは重要な問題です。そこで私は、ベトナムにはFDIがまだかなりあるとの認識を避けるため、ベトナム計画投資省が年間の登録資本から支出総額を除くように提案しています。

さらに1,750億ドルの支出うち10〜15%は(合弁資本であるか、土地としてかはともかく)ベトナムからのものです。実際の外国資本総額は約1,500億ドルと、世界的にも高いと言えます。

FDIの影響
2017年現在の資本支出額1,750億ドルは、過去30年間の投資資本総額の約22%を占めています。しかしながら強調しておきたいのは、FDIはベトナムの発展に間違いなく大きな影響を与えたということです。

労働力の観点からは、FDIのおかげで300万〜350万人が雇用され、ベトナムの雇用問題を大幅に解決しました。FDIセクターで働く労働者の給与は、他のどこよりも常に高く、たとえば、サムスンが拠点を置くベトナム北部のタイグエン省とバクニン省における労働者の平均月給は1,100万VND(480ドル)です。FDI企業にはもっと多くのマネージャー、技術者、研究者も働いています。これは、FDIによってベトナムの労働力が改善したことを示しています。

2015年から2017年までの間に、ベトナムにおける外国投資家の研究開発センター(サムスン、パナソニック、ボッシュなど)は、主としてエンジニア、ソフトウェアエンジニアなど何万人も雇用しています。サムスンによると、これらの研究開発センターで働く若いベトナム人労働者は高い資格を持ち、労働の質やその他の要件も満たしていると言います。これは、ベトナムの労働力という観点から最大の成功と言えるでしょう。FDIは有能で若い科学スタッフたちを生み出しています。その多くは、国有企業に戻って働いています。ベトナムの相当数の銀行の重役もFDI企業で働いていました。

技術移転に関しては、FDIのおかげで、ベトナムには世界でも最も近代的なテクノロジーが輸入されています。一部の産業は、石油・ガスや電気通信などの外国投資のおかげで、近代的なテクノロジーを幅広く利用できています。ベトナム計画投資省は、FDI企業で使用されているテクノロジーは、概して国内企業で使用されているものよりも優秀だと指摘しています。

投資と輸出の観点からは、2017年に初めてベトナムの輸出入額は4,000億ドルを超え、世界ランクで第25位、ASEANではシンガポールに次ぐ第2位となりました。特にサムスンは、2017年に総額500億ドル以上の製品を輸出しました。これはベトナムの輸出総額の25%を占めています。投資と輸出の拡大は、国際経済統合におけるベトナムの成功を物語る明らかな証拠です。FDIがなければ、ベトナムが国際市場に深く関わることはなかったでしょう。

ベトナム最大の利点は、政治の安定であり、次いでマクロ経済の安定です。後者の安定には、高い成長率(2017年は6.81%)、低インフレ率、ベトナム通貨ドン(VND)の安定、外貨準備(2017年は530億ドル)が含まれます。ベトナム政府は、健全な投資環境の構築、腐敗の撲滅、行政負担の軽減に継続的に取り組んでいます。

他方で、なかなか解消しない問題もあります。第一に、腐敗はいまだ深刻です。第二に、監査・行政手続きは企業にとって依然として複雑で、物流コストも高い状態です。第三に、知財法が外国からの投資を抑制しています。第四に、ベトナムは諸機関・制度の安定と税法への取り組みが不十分なため、FDI企業が自分たちの投資環境を決定することができません。

FDIの見通し
ベトナムは、情報技術、電子機器、IOT(モノのインターネット)、クラウドコンピューティング(特にインダストリー4.0が支配する)などの高い付加価値を創造する産業やハイテク製品にFDIを優先する必要があります。ベトナムはまた、サービス、教育、科学研究にFDIを誘致する必要もあります。

来たるべき時代により多くのFDIを誘致するには、変化が必要です。第一は、方向性と政策を変えることです。私たちは、国内企業の能力を超える分野にFDIを誘致するべきではありません。昨年(2017年)、あまりに多くの100万ドル以下の投資プロジェクトに注力したせいで、投資家の持つ多くの潜在能力を無駄にしてしまいました。

第二は、優遇措置を変えることです。私たちは、税制優遇措置を実施していますが、社会経済的効率のための財政的奨励措置は実施していません。したがって、ベトナムが採用した開発の方向性に沿った社会経済的効率を示している国内外の投資家に対してはその他の優遇措置を用意する必要があります。

第三に、私たちはパートナーの選択肢をもっと広げる必要があります。ベトナムがインダストリー4.0に沿って進んでいくに伴って新たな方向性を実施するためには、日本や韓国の中小企業に加え、大企業、特にハイテク分野の多国籍企業の力を求めることも必要です。

私たちは、中小企業(特に関連産業で働く)の潜在能力を見くびるべきではありませんが、大企業にも手を伸ばす必要があります。たとえばヴィングループは、投資資本総額35兆VND(15億ドル)のヴィンファスト自動車製造工場を建設するためにジーメンスと協力しました。FDI企業は一層の拡大を続けるでしょうし、ベトナムは将来も魅力的な投資先であり続けるでしょう。

ベトナムに移り住むべき5つの理由

最近、短い旅行からホーチミン市(旧サイゴン)に戻った私は、この国のあまりの変わりように驚嘆せざるをえませんでした。

動乱の過去にもかかわらず、間違いなく今この国は静かで隔絶した後進国などではもはやなく、主要都市は急速に成長しています。国際的なホテル、レストラン、ショップが溢れ返り、活気に満ちた通りを大量の自動車が走り、ふと空を見上げると、光り輝く摩天楼が高くそびえています。国際航空会社が、大使館が、病院が、ベトナム人と外国からの移住者が共生する、この急速に巨大化するネットワーク社会へのサービスの提供にしのぎを削っています。ベトナムは生活するにも仕事をするにも素晴らしい場所だと言えましょう!

1. ベトナムで暮らす — 想像もしないことに出会える場所!
ベトナムは数千年も戦争と外国による占領の舞台でした。現在の平和は、この国の長い歴史のなかでは、ほんのヒトコマにすぎません。ホーチミン市の人びとは、とても心温かく、親切で、活発で、楽天的です。この国は比較的小さく、わずか33万平方キロメートルの面積しかありませんが、ここには美しい田園や浜辺、田舎の風景があり、思わず探検してみたくなります。歴史と文化の薫りが漂い、活気ある24時間年中無休の意欲的な姿勢で取引や商業が営まれています。ベトナムへ行けば、東洋における極上の生活を味わえます。

2. 成長する経済
ベトナムはアジア・太平洋地域で最も貧しい国の一つですが、農業、林業、建設業、工業の回復により、GDP成長率5%以上が毎年続いています。

失業率は3%以下と低く、労働力は安く、若い労働者が多いおかげで、西欧の大手企業がそのメリットと安い生産コストを求めて、ベトナムに移転しています。ベトナム人の熟練労働者が不足していることから、成長セクターであるIT、建設業、鉱工業、製造業、観光業において、移住者は最良の機会に恵まれています。

観光業と対外的市場開放が飛躍的に進むにつれ、英語話者の需要や英語教師向け語学研修(TEFL)の需要が高まっています。

3. 生活コスト — とにかく安い!
ベトナムでは人口増加の勢いが止まりません。生活と仕事の場として移住してくる外国人が増えているからで、彼らが惹かれるのは、心地よいライフスタイル、生活コストの安さ、安全な環境、活気ある文化、ほぼ一年を通じたトロピカルな気候です。ただし、すべてがおとぎ話の結婚式のようにはいきません。都心部の公害や交通状況の悪化は深刻です。

ホーチミン市は、世界一生活費の高い都市ランキングで140位です。現在その137位上位にある香港でこの記事を書いている私からすれば、それは新鮮な空気の息吹のようです。

都会の高級アパートから郊外の控えめな住まいまで、それぞれの予算に合わせてさまざまな宿泊施設が利用できます。

地元の食べ物と西洋料理の価格は桁が違います。運よく地元のバーやレストランで出される数多くの素晴らしい料理を食べられるなら、お財布の心配は御無用です! ビールや蒸留酒は安く、ワインは目が飛び出るほど高価です!

4. 建設と開発
ベトナムの大都市やその周辺(ホーチミン市、ナトラン、ハノイなど)では、青空を背景に多数のタワークレーンが林立し、高層ビルディングの建築ラッシュが続いています。

巨大幹線道路や鉄道インフラのプロジェクトが進行中です。その大部分は、外国からの直接投資によるものです。

ベトナム政府は、お金の流れをつくり出し、建設工事を加速させるため、投資家や建築請負業者、建設資材納入業者向けに数兆VND(1米ドル=約2万VND)を融資しています。また公営住宅計画を支援する強い動きもあります。

5. 越僑 —「我々には君たちが必要だ!」
中国人の「華僑」と同様、「越僑」とは、ベトナム国外に移住したベトナム人のことです。越僑は約300万人います。その大多数は、1975年にサイゴンが陥落し、共産党の支配に移ったため、難民となって国を離れた人たちです。

ベトナム西部の地元の建設会社、エンジニアリング企業、不動産会社は、既存の企業であれ新興の企業であれ、帰国するベトナム人エンジニア、マネージャー、専門職の人材を雇用したがっています。越僑たちは、元々の強い文化的ルーツである意欲的な姿勢と母国語の能力に加え、西洋の教育や考え方(ベスト・プラクティス)を提供してくれるからです。

人手不足に悩む電子機器企業

労働傷病兵社会問題省(MOLISA)当局者によると、ベトナムでは多くの電子機器企業が人手不足に陥っているといいます。

オートメーション技術がヒトの労働に取って代わるという予測は数々ありますが、ベトナムの電子機器メーカーではまだ人手が足りていません。特に技能や資格を持つ人材が不足しています。

MOLISAの労働科学・社会問題研究所(ILSSA)労働環境条件研究活動センターの責任者Chu Thi Lan氏によると、ベトナムの電子機器企業の数は、2006年から2015年までの10年間で307社から1,165社へと年16.3%増の勢いで急増しており、電子機器企業で働く労働者数も2009年から2016年までの10年間で14万2,800人から45万3,200人へと急増しています。

ただし、彼ら労働者の約70%はその仕事に必要とされる資格を持っておらず、電子機器企業の80%は熟練労働者の深刻な人手不足に直面しているといいます。

この人手不足を招いている要因のひとつに「新しい技術」を挙げているのがILSSA所長のDao Quang Vinh氏です。

「新しい技術は、激しい変化への適応を労働者に求め、競争を活発にし、製造コストを引き下げ、より質の高い労働者の需要を確立する」とVinh氏は述べています。

しかしながら、ベトナム人労働者の大半は地方出身者で、技術職の訓練をまともに受けていません。そのため、技術変化に適応する柔軟性が彼らに欠けていると指摘するのがMOLISAの労働者・労組研究所の所長Vu Quang Tho氏。

Tho氏はまた、製造工場の過酷な労働条件も一部労働者の離職を助長していると述べています。

MOLISAの主任調査官Nguyen Tien Tung氏は、2017年にベトナム国内の電子機器企業216社で不正が発覚したことを明らかにしています。「いずれの企業も、従業員に超過勤務を強いており、それらの企業の6割が時間外勤務手当の規則に違反していた」ようです。うち27社は、重大な労働法違反で14億VND(6万1,600 米ドル)の罰金が科されました。それら企業の多くが労働者の権利を保証していなかったとTung氏は指摘します。

労働条件改善のため、電子機器企業に対して労働慣行の刷新、労働規則の厳守、労働基準の維持などの措置を実施すべきだと主張しているのがChu Thi Lan氏です。

Lan氏は、「電子機器企業は、強制労働と児童労働を絶対に避け、35歳超の労働者の解雇を差し控えるべき」とも唱えています。

電子機器企業は、新しい技術を導入する場合、その都度訓練・再訓練を労働者に施すべきだと主張するのが前出のDao Quang Vinh氏。

Vinh氏は、「労働者は(技術)変化を敏感に感じ取り、新たなニーズに応える新たな技能を習得する用意がなければならない」とし、「技術変化についていけない労働者には、他の雇用機会について情報が提供されるべきだ」と述べています。

Vinh氏はまた、電子機器企業で働く労働者の雇用の安定とOJTが図られるような政策の実施を政府に求めています。

RCHループ、ベトナムに新工場建設

RCHグループがベトナムに建設した新たな製造工場は、同グループのグローバルなビジネス展開を後押しするものとなるでしょう。

先進技術を備えた新工場では、RCHのPOS(販売時点情報管理)製品のためのハイテク電子機器が製造されています。2018年1月の操業開始以降、拡大するRCHの顧客基盤を支える生産能力は向上しています。

RCHは、洗練されたイタリアンデザインと革新的なハイテク製品でよく知られています。RCH製品の特徴である「メイド・イン・イタリー」とその高い品質基準を維持するため、イタリアから呼び寄せたエンジニアが品質管理をおこなっています。工場の作業全般は、イタリア人のパオロ・アンドレッタGMが管理しています。研究開発や製品設計、販売・流通などの中核機能は、イタリアにあるグループ本社が引き続き担っています。

「当社は久しくこの地域で仕事をしてきました。特にRCHのコアビジネスを特徴づけるハードウェアとソフトウェアなど技術面でのベトナムの発展ぶりを私たちは評価しています。」「ベトナム人労働者の高いスキルとロンアン省のインフラ開発投資も魅力的です」と語るのはRCHベトナムLLCのパオロ・アンドレッタGM。

中国の香港と広州市に事務所を置くRCHは、アジア・太平洋において久しくプレゼンスを維持しています。RCHのアジア・太平洋における販売・業務(S&OP)全般の地域本部は、引き続き香港がその役割を担います。

RCHグループについて

RCHグループは、小売り、食品・飲料、娯楽、ホスピタリティ、フランチャイズマーケット、パブリックセクター向けの先進的なPOSシステムを提供しています。グループの主力製品には、レジ、セルフサービスのチケット販売キオスク、自動レジ、クラウドベースの事務管理サービスなどがあります。

1969年に設立されたRCHグループは、世界40カ国にプレゼンスを持つ複数の企業からなるグローバル組織へと成長してきました。RCHグループはその特徴的なデザインを先進的な製品エンジニアリングと組み合わせたことで知られています。イタリア北部に本社のあるRCHグループは、パートナー・リセラーの広範なネットワークを持ち、オーストリア、ベトナム、中国、その他のアジア諸国にオペレーションオフィスを置いています。

ベトナムで働きたい外国人のために

インドシナの労働市場が活気を呈している今、あなたはベトナムで仕事をしてみたいとお考えですか? ベトナムのビジネス界は外国人には理解しにくいため、私たちベトナム・ガイドがお助けしましょう。ベトナムの経済、就労許可、雇用機会については、以下をお読みください。
* ベトナム経済は自由化しつつあり、目覚ましい成長を続けています。
* 大半の外国人移住者は、社会保障負担金が免除されています。
* 就労許可証の取得手続きは複雑であり、ベトナム政府は深刻に受け止めています。

ベトナムで働く計画ならば、ベトナムの文化的価値観と伝統を理解することが不可欠です。それなくして、強力なビジネス関係を築くことはできません。結局のところ、文化的価値観はビジネス環境に如実に表れるものだからです。

ベトナムは20世紀後半に激しい経済的混乱を経験しました。対米戦争(ベトナム戦争)と米国の禁輸措置は、今もその影響が強く残っています。他方、ベトナムは世界的景気後退による困難に直面しながらも、経済成長期を迎えています。それゆえ、ベトナムで働けば、大きな見返りが得られます。

ベトナムのビジネス界:階層がカギ
ハノイであれホーチミンであれ、ベトナムで働いてみれば、ベトナム企業が階層型組織であることをすぐに理解できるでしょう。決定を下すのはトップで、多くの場合、トップはその会社の最長老です。それゆえ、仕事仲間やパートナーに敬意を払うことを忘れてはいけません。特にその人が年長者の場合には。

ベトナムのビジネス界や社会において地位は重要な要素です。ベトナムで働くときは、年齢だけではなく、教育を通じて一定の地位が得られます。ベトナムのビジネス界はかつて男性が支配していましたが、上級ポストに就く女性が増えるとともに、この国では性的革命に進みつつあります。

貧困国から躍動的な経済へ
ベトナムは世界有数の低失業率の国で、2016年初めの失業率は2.23%でした。1986年以降、ベトナムは経済発展に成功してきました。過去四半世紀の間に世界の最貧困国から低中所得国へと地位を高めました。2000年代からはGDPが急激に伸び、貧困率も58%から14%に低下しました。

2015年に輸出が伸びた唯一の国がベトナムで、金融危機の影響は限定的でした。実際、ベトナムの危機対応は称讃され、GDP成長率は2014年が5.5%、2015年が6.5%を記録しました。

こうした成果の大部分は、主要経済セクター(農業、食品産業、繊維、家具、エネルギー、観光業、電気通信など)における政府の改革によるものです。すなわち国有企業の民営化、ビジネス環境の改善、外国投資の誘致促進、効果的な通貨政策の導入です。

こうしてベトナムは、経験に富み熟練した外国人移住者にとって働きたい国となりました。活発な国内消費とFDIを優遇する環境づくりによって、多くの機会が提供されています。

その一方、ベトナムの潜在的経済力には不安材料もあります。実際、大量の不良債権は銀行部門の頭痛の種で、不十分な資本化も深刻な脅威となっています。とはいえ、ベトナムの将来的見通しは依然として明るいものがあります。2016年にTPPに署名し、太平洋地域の他の11カ国(当時)との繋がりができました。また農業とエネルギーの潜在性は、熟練した低廉な労働力と合わさって、経済の明るい未来を保証しています。さらに2016年末のベトナムのGDP成長率は6.4%となる見通しです。

就労許可証:簡素化されつつある複雑な取得手続き
外国人移住者がベトナムで仕事を始めるには、就労許可証を取得する必要があります。そのために、外国人は労働契約を結び、(外国人のために手配する用意のある)雇用主がいなければなりません。外国人は、各都市に置かれた労働傷病兵社会問題省(MOLISA)の地方事務所に申請します。ベトナム政府は現在、就労許可要件の簡素化と取得免除に関する改革を進めています。いちばん最近の改革は2016年4月に実施されました。

就労許可証の取得免除対象者
外国人移住者のうち、労働許可証の取得が免除される有資格者について列挙されたリストがあります。以下はその要件を説明したものです。
* 働きたい分野で3年以上の経験がある学士号を持つ外国人移住者。これは、当該外国人が1度に30日以内、1年に合計90日を超えない範囲でベトナムに滞在する場合にのみ適用されます。
* 転勤してきた外国人移住者。彼らに転勤を命じた会社が次のいずれかの分野(情報技術、ビジネス、教育、流通、建設、保健、環境、金融、運輸、観光業、エンタテインメント)で事業活動をしている場合に限ります。本免除を受ける外国人移住者は、就労許可証の有効期間満了までベトナムに滞在することができます。
* 外国大使館の管理下にあるインターナショナル・スクールで働く教師。ベトナムの学校で働くときは、ベトナム教育省から許可を得る必要があります。本免除を受ける外国人移住者も、就労許可証の有効期間満了までベトナムに滞在することができます。
* ベトナム企業で働くインターン、国際的NGOから派遣された公認のボランティア、ODAプロジェクトの実施を支援する専門家。本免除を受ける外国人移住者も、就労許可証の有効期間満了までベトナムに滞在することができます。

また雇用主は、MOLISAに書類を送付しなければなりません。MOLISAは3日以内に就労許可証の免除を承認します。免除期間は2年間です。

就労許可証が必要な外国人移住者
ベトナムで働くその他の外国人は就労許可証が必要です。彼らはMOLISAに書類を提出しなければなりません。雇用が開始される少なくとも2週間前までに以下の書類をMOLISAに提出しなければなりませんが、可能であれば数カ月前に手続きを開始することを強くお勧めします。
* ベトナムで働くためにスタッフを派遣する外国企業での勤務証明書
* 有資格者により認証されたパスポートの写し
* 被雇用者の就労許可証を取得するために雇用主が書いた依頼書
* 外国またはベトナムの公認機関が発行した医療証明書(12カ月間有効)
* マネージャー、管理職、専門職または技術労働者の資格を証明する書類
* 出身国での犯罪歴。30日を超えてベトナムに居住している場合、ベトナム当局からこれを取得すればよい。
* 最近6カ月以内に撮影したカラー写真2枚(4 cm x 6 cm、背景白地、正面向き、無帽、サングラス不可)

MOLISAは7日以内に就労許可証の免除を承認します。免除期間は2年間です。

研修を求めるベトナムの若者たち

ホーチミン市のグエン・ヴァン・ラック通りにあるMai Sen Bistroは、ヨーロッパやアジアの料理を提供する、よくある「素敵なレストラン」とは違います。同店で働くスタッフは、恵まれない若者を対象とする国際標準の料理講座を無料で開く職業学校Anre Maisen Hospitality Training Centre出身の研修生です。

ドイツの二元的職業訓練システムに倣ったこのモデルは、ベトナム人のドイツ料理シェフで実業家のFrancis Nguyen Van Hoi氏がベトナムに導入したものです。

ドイツで最も成功したベトナム人の一人Hoi氏は、全国的なテレビ料理番組にゲストとしてしばしば呼ばれ、大企業が大宴会を催すときは、たびたび彼に助言が求められています。

「私は36年間ドイツで生活し、料理の腕のおかげで路頭に迷うことはありませんでした」と現在67歳のHoi氏は語っています。

1975年4月のサイゴン(現在のホーチミン市)陥落後、南(ベトナム)の激変によって、混乱と恐怖に陥ったHoi青年は母国を去る決意を固めました。

1976年1月にドイツに渡ったHoi氏は、最初はBavarianという居酒屋のセラーで働き、皿洗いやサラダづくりの仕事をして生計を立てていました。

3年後に法的資格が変わり、わずかながら蓄えができたため、料理学校に2年間通いました。料理人となったHoi氏は、ドイツ全国の企業やオフィスに食事を提供するグループのディレクターとなりました。その後、自分の料理店を持ち、ドイツのレストランにアジア料理を提供する会社を設立しました。

「ドイツの教育制度に感銘し、感謝しています。その二元的職業訓練制度の下で、研修生は会社でOJTを受け、賃金を得ながら職業学校に通います。ですから、この制度をベトナムに導入できれば、ベトナムの若者に同じようなチャンスを与えられると思ったんです」とHoi氏は語っています。

1990年に母国の土を再び踏んだ彼の心のなかで、ホスピタリティ研修センターの構想はますます膨らみ、ドイモイ(再生)政策の第一段階までに若干の変化もありました。

観光業とホスピタリティ産業は、当時はまだ発展の緒についたばかりでしたが、その豊かな文化、歴史、自然を含めて、ベトナムの観光業は大きな潜在性を秘めていました。

「ホスピタリティ産業のことをよく知っているからこそ、母国の発展に貢献したいんです。」

「なにより貧しい人たちを手助けしたい。戦争は多くのベトナム人から良い生活や明るい未来のチャンスを奪い、多くの家族や子供たちに飢えと貧困を強いました。」

「飢えや貧困がどういうものかはよく分かっています。私自身が貧しい子供でしたから。あの頃のことは今もけっして忘れません」と振り返るHoi氏。

Hoi氏は、父母と8人の兄弟姉妹がいました。彼は両親にとって初めての子供でした。Hoi氏の両親はドンナイ省南部の貧しい農家の出身でした。一家は約3,000平方メートルの痩せた農地を耕して暮らしていたそうです。

両親は知人のつてを頼ってHoi氏をサイゴンの慈善学校に通わせました。息子にもっと良い食事と勉強ができる機会を与えてやりたいとの親心からでした。

「私はいつも慈善学校、特にスロヴェニアからやって来たAnre Mai Sen司祭に感謝していました。司祭は慈愛に満ち、貧しき者を助けてくださいました」とHoi氏。

「Anre Mai Sen司祭は、私にとってお手本です。司祭は、裕福な人たちに障害者を助けるよう呼びかけました。仕事で成功を収め、より良い生活を送れるようになったら、私は貧しい人たちを助けたいと考えていました」と語るHoi氏。彼にとっては、それこそがAnre Mai Sen司祭や自分を助けてくれた人たちへのご恩に報いる方法なのだと言います。

ドイツに家族を残して2013年にベトナムに帰国したHoi氏は、非営利のホスピタリティ研修センターという彼の構想を実現しました。

「家族と遠く離れ離れで暮らしたいと思う人はいないでしょう。私の妻も息子も同じです」とHoi氏。「ですが、私は彼らにこう説明しました。30年間ドイツで生活し、私は夫として、また父として義務を果たしてきた。私が今日あるのは、多くの人たちのおかげである。今こそ直接間接にその恩義に報いるときなのだと」。

Hoi氏は家族に応援され、60歳代で母国に戻り、18歳から22歳までの恵まれない若者たちに宿泊付き研修コースを無料で提供しました。

Hoi氏の学校では、3年間の研修でホスピタリティの要領を学び、修了時にはドイツ商工会議所による試験を英語で受けます。全カリキュラムは、ドイツの高い基準に従って構成されており、研修生は外国人の教師や顧客らと意思疎通ができるように英語も学びます。それは、彼らが将来国際レベルのレストランで働くときのための準備でもあります。

2014年半ばに彼の学校に最初の研修生を迎える準備として、Hoi氏は恵まれない子供たちに研修コースがあることを知らせるため、地区や教会、パゴダ、慈善学校に案内状を出しました。街で出会ったストリート・チルドレンにも直接声をかけました。

「私の非営利センターには多くの人が懐疑的でした。特に資金面で。子供を教えるにも、彼らに研修や宿泊施設を提供するにも、外国人教師を雇うにも、レストランを借りるにも、多額の資金が必要だからです。」

Hoi氏の資力ではとてもそれらを賄いきれません。そこで彼は、ベトナム国内外で寄付を募りました。

「ベトナム人でわが子を料理人やウェイターやパン職人にしたい親はいないという声もありました。むしろ親の願いは、わが子を大学に通わせ、将来エンジニアや医者、会計士、銀行家にしたいということなんです」とHoi氏は語ります。

Mai Sen Schoolの最初のコースには36人の研修生が入校しました。彼らは2017年半ばに卒業しました。このうち10人はそのまま学校に残って働きましたが、その他の卒業生は市内のレストランやホテルに就職しました。

彼らの月給は約8〜10VNDで、新米のコックとしては比較的高いほうです。

「生徒が成長する姿を見るのは嬉しく、励みにもなります」とHoi氏は言います。

「ある卒業生がこう話してくれました。彼女は家族に嘘をついてMai Sen Schoolで学んでいたと。というのも、コックという厳しいわりに恵まれない仕事に娘が就くことを家族は望まなかったからです。しかし最初の給料をもらった日、彼女は本当のことを家族に話し、彼らの理解を得たのです」とHoi氏は語っています。

このベテランシェフは、職業学校に対する差別は残念だと言います。

「あらゆる職業は尊敬され平等にみなされるべきです」と語るHoi氏は、自分や自分の仕事がドイツのような先進国で尊敬されていることを喜んでいます。

現在21歳のPham Thi Thu Hau氏は3年前、高校卒業後にMai Sen Schoolの最初のコースを受講しました。ハノイ市第一区のホテルでウェイトレスとして働くHau氏は、3年間にわたる学業と寄宿生活は、忘れられない思い出でいっぱいだと語っています。

Hau氏は、クラスで教え、キッチンで生徒に指示するときのHoiシェフの厳しさが印象に残っているといいます。しかしながら、教室を一歩出ると、Hoi氏はとても気さくで、ユーモア感覚もありました。

Hau氏は、Mai Sen Bistroの店内が閑散とし、学校運営のための資金が乏しく、生徒も教師もコメと野菜だけを食べていた頃のことが今でも想い出されるといいます。

野菜を食べ過ぎて、胃袋が真緑になるほどだったと皆冗談を言い合っていました。

最初の3年間、学校は多くの困難に直面したようです。Hoi氏はふだん午前3時に起床し、市場に出かけます。午前5時頃から、教える者と教わる者とが協力して料理の準備に取り掛かります。テーブルを整える者もいれば、野菜を洗って刻む者もいます。最初のレッスンでは、多くの研修生が包丁の持ち方すら知らず、何の肉の切り身なのかも分かっていませんでした。

「今では事が段取りよく運ぶようになってきている」と言います。Mai Sen Schoolで学ぶ若い研修生は125人おり、彼らの寄宿費は月約4,500万VND(2,000米ドル)です。

同校で学びたいと応募してくる若者は増えていますが、全員を受け入れることができないのが現状です。寄付者からも、良質な水準の研修と生活条件を維持するため、研修生の人数を制限するよう求められています。

大学は出たけれど。。。

Nguyen Van Duc氏は2年前、ベトナム有数の名門大学で経済学の学士号を取得しました。現在はハノイのバイクタクシー運転手として働いており、月収は約250ドルです。

両親とも副業で遣り繰りしなければならないほど貧しい家庭だったため、3人兄弟のなかで大学に通えたのはDuc氏だけでした。ベトナムの失業率は2.3%にすぎませんが、Duc氏は、大学は出たけれど、好きな分野の仕事に就けない何千人もの大卒者の一人です。

「大学では、厳しい理論的訓練を受け、共産党の歴史とホーチミンの思想を詰め込まれただけでした」と、その25歳の青年は語ります。

ベトナムの学校では、低賃金の組立流れ作業の基礎的スキルを教わりますが、大学はもっと複雑な仕事ができるような教育をしていません。ベトナム人労働者の賃金が上昇し、基幹製造業が他の低賃金国に流出してしまえば、世銀の定義する「中所得国」(一人当たりの所得4,000ドル以上、これは現在のベトナムの水準の約2倍の水準)を達成するというベトナム政府の野心が頓挫しかねないからです。

スタンフォード大学の開発経済学者スコット・ロゼール氏は、「次の経済段階にうまく移行できた国は、中所得国である間にすでに先進国並みの教育レベルに到達しています。そこに到達していない国は立ち行かなくなります。つまり中所得国の罠に嵌っているのです」と指摘しています。

シンガポール、韓国、台湾は、高学歴の労働者が必要になるはるか以前から質の高い大学を備えていました。逆に、アルゼンチン、ブラジル、メキシコなどは、教育投資が不十分だったこともあり、中所得国になってからも鈍い歩みを続けています、とロゼール氏は言います。

ベトナムの大学生が最初の2年間の大半を費やして学ぶのは、批判的思考のような雇用者の期待するスキルではなく、革命指導者ホー・チ・ミンや社会主義、共産党の歴史についてです。その挙げ句、学位はあっても必要なスキルを欠く労働者が増産されるのです。そうした労働者に対して多額の賃金を支払うことを企業は嫌がる、とベトナム商工会議所は説明しています。現在、ベトナムの大卒者の失業率は17%にのぼります。

政府への圧力
「ベトナムに進出してくる外国の民間企業は、優秀な熟練労働者や管理職、エンジニアを求めています」と語るのは、ホーチミン市にあるハーバード・ケネディ・スクール・オブ・ガバメントの上席研究員Nguyen Xuan Thanh氏です。「ベトナムでは中間層が拡大しています。親御さんは教育の改善を求めており、その期待に応えるよう政府への圧力は強まっています。」

最近は、将来の就職のことを考えて、子弟を海外で学ばせようとする親が増えています。日本学生支援機構によると、語学学校を含めて日本で勉強するベトナム人の数は、2016年5月までの6年間に12倍以上となる約5万4,000人にまで増加したといいます。

当局も課題は認識
「政府は、大学における訓練の質を改善しようとはしています」と語るのは、教育省の新たなカリキュラム戦略を監督しているNguyen Minh Thuyet氏。「私たちは、仕事に役立たない科目の削減に向けてカリキュラムを刷新する必要があります。ただし、その進捗状況ははかばかしくなく、ほとんど前に進んでいません。」

識字率と生産性
ベトナムの大学は過去10年間で約450校にまで増えました。政府は、大学進学者数を今後10年間で約8%増、2020年までに56万人にする計画です。

労働科学・社会問題研究所の調べによると、2017年のベトナムの識字率は97%でしたが、ベトナム人労働者の3分の1が高卒でした。

現状において、ベトナムは生産性が低いわりに、急速に発展しています。世界銀行は、ベトナムの成長率は2019年までは6%超を続けるとの見通しを示しています。ただし、その労働力から最大限の生産性を引き出しているかとなると、ベトナムは域内諸国の後塵を拝しています。

ベトナム経済の工業生産力は、東南アジア諸国のなかでも最低水準にあります。シンガポールの工業生産力はベトナムの26倍、マレーシアのそれは6.5倍、タイとフィリピンのそれは1.5倍です。

プラス材料
それにもかかわらず、いくつかの理由から期待も持てます。米国務省から資金援助を受け、ベトナム政府が承認した初の独立・非営利組織フルブライト大学ベトナム校が今秋開校する予定です(同校のThuy Dam Bich校長談)。同校ではマルクス主義も教えられますが、欧米の大学で通常おこなわれているように、ヘーゲルやカントらの哲学と同様に扱われます。

企業各社は、労働者の能力を期待する水準に引き上げるため、若者に追加の教育を施しています。ベトナム最大の情報通信会社FPTは、国内約2万人の高校生や大学生を教育するための施設を備えています。ホーチミン市に組立・試験工場を持つインテルは、複数の教育プログラムに2,200万ドルの出資を約束しています。

しかしながら、この国の既存のシステムに嵌ったまま身動きのとれない人にとって、教育は「時間とカネの膨大な無駄使い」になる可能性があると労働科学社会問題研究所のLuu Quang Tuan副所長は指摘しています。

「多くの大卒者は、チームワークや組織的技能のような企業で働くための重要なスキルを欠いており、それも経済の足を引っ張っている要因です」とTuan副所長は述べています。