女性創業者たちがベトナムでリーダーシップを発揮する日

Huong Tran氏が2014年に新規のビューティーリテール企業Epomiをベトナム人投資家たちに初めて売り込んだとき、彼女は彼らの反応に衝撃を受けました。

「女は感情的な生き物だから、会社の経営なんてできっこない。だから女の会社に投資したくないと言うのです。そう言ったのは、ベトナム有数の大手国際ベンチャーキャピタル企業の人でした。私はその企業に期待しませんでした」とTran氏は述べています。

そのときまで、Tran氏は自分の申し出を受け入れてほしいと真剣に投資家を説得するのに苦労したことはめったにありませんでした。Tran氏はデューク大学でMBAを取得し、サムスンやGSKなどの大手多国籍企業で10年間指導者の立場にあったベトナム人として、ビジネス界で長く活躍してきました。彼女が投資家たちを説得したとき、Epomiはすでに急速に売り上げを伸ばしており、熱心な顧客基盤を持ち、大手サプライヤーと優良な契約を結び、ベトナムにおいて急成長するビューティーリテール市場をリードする明確な計画を持ち合わせていました。

Tran氏は最終的に起業資金を調達できましたが、当初彼女が味わった経験は特段珍しいものではありません。先進国か新興国かにかかわらず、女性差別は世界共通の課題です。いわゆるセクハラも同様です。テクノロジー業界で(も)生じている永遠になくなりそうにない一連の性的ハラスメント行為は、社会的にますます白日の下に晒されつつあります。

しかしながら、男女平等の一定の基準については、ベトナムは他のアジア諸国よりも優秀な国と言えます。たとえばデロイトの最近の調査によると、オーストラリアを除くアジア・太平洋諸国のうち、ベトナムは女性取締役の割合が最も高い17.6%でした。世界64カ国を対象としたこの調査からは、ベトナムがシンガポール(9.4%)や中国(9.2%)などの近隣先進諸国はもとより、世界平均(15%)をも上回っていることが分かります。

女性が中小企業経営者に占める割合でも、ベトナムはかなり高いものがあります。アジア開発銀行とオーストラリア政府が共同で指導するメコン・ビジネス・イニシアティヴ(MBI)の2016年報告書によると、中小企業のオーナー全体に占める女性の割合は、ベトナムが約25%なのに対し、南アジアは8%にとどまっています。

ベトナム最大級の有名企業の一部も女性が経営者です。最も著名なのがNguyen Thi Phuong Thao氏です。Thao氏は、2017年前半にベトナム証券取引所に上場した人気の格安航空会社Vietjetの創業者兼CEOです。彼女が東南アジア唯一の女性億万長者になった一つの要因として、同社の成功が挙げられるでしょう。

著名な女性CEOは、スタートアップ企業のみならず、小売りから農業にいたる幅広い業界でも見られます。

一部の業界では、上級管理職のかなりの割合を女性が占めています。2014年から2016年にかけて、私はシンガポールに拠点を置く医療データ会社と協力しながら、ベトナムで新たなサービスラインを立ち上げました。この間、私はベトナムのほとんどすべての多国籍医薬品会社に売り込みをかけました。その多くは未だに外国人の男性が経営者ですが、私の商取引相手の大半は女性でした。また裏で女性が仕切っていることもしばしばありました。

ただし、すべての業界が同じ感覚なわけではありません。2015年まで遡ってみると、ベトナムで急成長するIT部門を扱ったテコノミー(Techonomy)の一連の物語において、国内ITサービス企業へのインタビューやサイト訪問を幾度も重ねましたが、その間、女性に出くわすことはほとんどありませんでした。他の諸国と同様、ベトナムのテクノロジー業界も女性は少数派です。とはいえ、一部の教育機関は、自国の科学・技術・工学・数学(STEM)分野における人材の構築に取り組みながら、常にそのことを気にかけています。

「ベトナムには優秀な女性ビジネスリーダーたちがいます。だからといって、この国の経済界で男女平等が実現しているわけではありません。」そう話すのは、サンフランシスコやアジア各地に事務所を置くインパクト投資ファンドのPatamar Capital(旧Unitus Impact)ベトナム事務所の社長Shuyin Tang氏。男女間格差を埋めるべく、最近Patamar Capitalは東南アジアにおいて女性オーナー企業向け投資ファンドを立ち上げました。

その他の組織も、ベトナムの女性実業家の支援に取り組んでいます。たとえばMBIは最近ベトナムの女性オーナー企業を支援するためのプログラミング・サービスを提供するマルチ・ステークホルダープログラムWomen’s Initiative for Startups and Entrepreneurshipの立ち上げを手助けしました。そのヴィジョンはメコン地域にまで拡大しています。もうひとつがWomen of Vietnamです。これは、ベトナム系オーストラリア人起業家が2015年に立ち上げたプライベート・コミュニティです。

こうした組織は、時に騒がれ論争となるトピックと格闘しています。ベストセラー『LEAN IN(リーン・イン)女性、仕事、リーダーへの意欲』の著者シェリル・サンドバーグ氏は、「職場で男女平等を持ち出す人は、深海や泥水の中を進んでいるようなものです」と書いています。「このテーマ自体は、性差の存在を認めるよう私たちに迫りながら、同一待遇という目標の達成を試みるというパラドックスを孕んでいます。」

しかし、男女平等を奨励し、仕事における女性差別を防止する運動が世界中で高揚しています。この運動がベトナムでもヒートアップしていることから、この急速に成長するダイナミックな国において、より多くの女性起業家がリーダーシップを発揮する日の来ることが期待されます。

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