ベトナムで働きたい外国人のために

インドシナの労働市場が活気を呈している今、あなたはベトナムで仕事をしてみたいとお考えですか? ベトナムのビジネス界は外国人には理解しにくいため、私たちベトナム・ガイドがお助けしましょう。ベトナムの経済、就労許可、雇用機会については、以下をお読みください。
* ベトナム経済は自由化しつつあり、目覚ましい成長を続けています。
* 大半の外国人移住者は、社会保障負担金が免除されています。
* 就労許可証の取得手続きは複雑であり、ベトナム政府は深刻に受け止めています。

ベトナムで働く計画ならば、ベトナムの文化的価値観と伝統を理解することが不可欠です。それなくして、強力なビジネス関係を築くことはできません。結局のところ、文化的価値観はビジネス環境に如実に表れるものだからです。

ベトナムは20世紀後半に激しい経済的混乱を経験しました。対米戦争(ベトナム戦争)と米国の禁輸措置は、今もその影響が強く残っています。他方、ベトナムは世界的景気後退による困難に直面しながらも、経済成長期を迎えています。それゆえ、ベトナムで働けば、大きな見返りが得られます。

ベトナムのビジネス界:階層がカギ
ハノイであれホーチミンであれ、ベトナムで働いてみれば、ベトナム企業が階層型組織であることをすぐに理解できるでしょう。決定を下すのはトップで、多くの場合、トップはその会社の最長老です。それゆえ、仕事仲間やパートナーに敬意を払うことを忘れてはいけません。特にその人が年長者の場合には。

ベトナムのビジネス界や社会において地位は重要な要素です。ベトナムで働くときは、年齢だけではなく、教育を通じて一定の地位が得られます。ベトナムのビジネス界はかつて男性が支配していましたが、上級ポストに就く女性が増えるとともに、この国では性的革命に進みつつあります。

貧困国から躍動的な経済へ
ベトナムは世界有数の低失業率の国で、2016年初めの失業率は2.23%でした。1986年以降、ベトナムは経済発展に成功してきました。過去四半世紀の間に世界の最貧困国から低中所得国へと地位を高めました。2000年代からはGDPが急激に伸び、貧困率も58%から14%に低下しました。

2015年に輸出が伸びた唯一の国がベトナムで、金融危機の影響は限定的でした。実際、ベトナムの危機対応は称讃され、GDP成長率は2014年が5.5%、2015年が6.5%を記録しました。

こうした成果の大部分は、主要経済セクター(農業、食品産業、繊維、家具、エネルギー、観光業、電気通信など)における政府の改革によるものです。すなわち国有企業の民営化、ビジネス環境の改善、外国投資の誘致促進、効果的な通貨政策の導入です。

こうしてベトナムは、経験に富み熟練した外国人移住者にとって働きたい国となりました。活発な国内消費とFDIを優遇する環境づくりによって、多くの機会が提供されています。

その一方、ベトナムの潜在的経済力には不安材料もあります。実際、大量の不良債権は銀行部門の頭痛の種で、不十分な資本化も深刻な脅威となっています。とはいえ、ベトナムの将来的見通しは依然として明るいものがあります。2016年にTPPに署名し、太平洋地域の他の11カ国(当時)との繋がりができました。また農業とエネルギーの潜在性は、熟練した低廉な労働力と合わさって、経済の明るい未来を保証しています。さらに2016年末のベトナムのGDP成長率は6.4%となる見通しです。

就労許可証:簡素化されつつある複雑な取得手続き
外国人移住者がベトナムで仕事を始めるには、就労許可証を取得する必要があります。そのために、外国人は労働契約を結び、(外国人のために手配する用意のある)雇用主がいなければなりません。外国人は、各都市に置かれた労働傷病兵社会問題省(MOLISA)の地方事務所に申請します。ベトナム政府は現在、就労許可要件の簡素化と取得免除に関する改革を進めています。いちばん最近の改革は2016年4月に実施されました。

就労許可証の取得免除対象者
外国人移住者のうち、労働許可証の取得が免除される有資格者について列挙されたリストがあります。以下はその要件を説明したものです。
* 働きたい分野で3年以上の経験がある学士号を持つ外国人移住者。これは、当該外国人が1度に30日以内、1年に合計90日を超えない範囲でベトナムに滞在する場合にのみ適用されます。
* 転勤してきた外国人移住者。彼らに転勤を命じた会社が次のいずれかの分野(情報技術、ビジネス、教育、流通、建設、保健、環境、金融、運輸、観光業、エンタテインメント)で事業活動をしている場合に限ります。本免除を受ける外国人移住者は、就労許可証の有効期間満了までベトナムに滞在することができます。
* 外国大使館の管理下にあるインターナショナル・スクールで働く教師。ベトナムの学校で働くときは、ベトナム教育省から許可を得る必要があります。本免除を受ける外国人移住者も、就労許可証の有効期間満了までベトナムに滞在することができます。
* ベトナム企業で働くインターン、国際的NGOから派遣された公認のボランティア、ODAプロジェクトの実施を支援する専門家。本免除を受ける外国人移住者も、就労許可証の有効期間満了までベトナムに滞在することができます。

また雇用主は、MOLISAに書類を送付しなければなりません。MOLISAは3日以内に就労許可証の免除を承認します。免除期間は2年間です。

就労許可証が必要な外国人移住者
ベトナムで働くその他の外国人は就労許可証が必要です。彼らはMOLISAに書類を提出しなければなりません。雇用が開始される少なくとも2週間前までに以下の書類をMOLISAに提出しなければなりませんが、可能であれば数カ月前に手続きを開始することを強くお勧めします。
* ベトナムで働くためにスタッフを派遣する外国企業での勤務証明書
* 有資格者により認証されたパスポートの写し
* 被雇用者の就労許可証を取得するために雇用主が書いた依頼書
* 外国またはベトナムの公認機関が発行した医療証明書(12カ月間有効)
* マネージャー、管理職、専門職または技術労働者の資格を証明する書類
* 出身国での犯罪歴。30日を超えてベトナムに居住している場合、ベトナム当局からこれを取得すればよい。
* 最近6カ月以内に撮影したカラー写真2枚(4 cm x 6 cm、背景白地、正面向き、無帽、サングラス不可)

MOLISAは7日以内に就労許可証の免除を承認します。免除期間は2年間です。